2014/11/04

古物発掘2011年01月07日息子19才の誕生日夢日記

(いきなり夢から始まります)

【夢日記】19歳の誕生日の夢日記 
2011年01月07日13:42 


時は年末。 
友人の松葉君が結婚したという報告を受けたので、僕とも松葉君とも数年の付き合いのある女の子(名前はわからないので『エロ』と名付けておく)と僕の二人で、「おめでとう」と挨拶しに行く事になった。 
僕は20代半ばで、既に結婚していた。 
エロも僕と同い年で、やっぱり結婚していた。 

松葉君の結婚相手はナエちゃんといい、この子も僕とエロの共通の知り合いだった。 
ナエちゃんは小柄で可愛くて、いつもゆっくりと喋り、近寄るとどことなく果物の匂いがして、本当に果物みたいな女の子だった。 
ナエちゃんを知る人は皆「あのナエちゃんが手込めにされたなんて信じられない」と嘆く程、皆ナエちゃんが大好きだった。 
ナエちゃんは僕とエロの2歳年下でかなり若かったけど、松葉君が僕とエロの1歳年下なので、松葉君はその若さで年下の妻を手に入れた事になる。 

昼下がり、日陰となったマンションの通路を表札を指差しながらゆっくり進んでいると、松葉の名字を見つけた。 
インターホンを鳴らすと、すぐに松葉君が出て来て本当に屈託無い笑顔で招き入れてくれた。 
ああ本当に嬉しくてたまらないんだな、と思う。 

「おめでとう。年の瀬に急にって言うんだからビックリしたよ。かなり急いだの?」 
「そうですね、頑張りました」 
玄関で手土産を渡すと、僕の後ろに居たエロがひょいと顔を前に出して 
「バコバコっすか?」 
とニヤニヤしながら聞いた。 
「バコバコっすね」 
と松葉君もニヤリと答え、いつの間にか玄関まで出て来てたナエちゃんに後頭部を小突かれた。 

廊下を進んでリビングに入ると明るい布地のコタツがあって、僕とエロと松葉君はそこに座り、ナエちゃんはキッチンにお茶を用意しに行った。 
「やるねえ、松葉」 
エロが楽しそうに松葉君の痴話を聞き出そうとしている。 
エロは三度の飯よりエロが大好きで、普段はキリリとした顔立ちなのにエロの話になると見事なニヤケ顔を浮かべる。顔立ちも良ければ体もエロなのでエロには困らないエロの為に生まれてきたようなエロで、こいつと出会った当時、まだまだ何もかもが燻っていた僕の目の前で欲しい物を片っ端から手に入れて行く姿に辛辣な印象を抱いた事もあったが、僕もエロの世界に足を踏み入れ対等に話しが出来るようになってからは何かとつるみ、互いの到底他では言えない卑猥体験を交換するおかしな仲になっていた。 

エロの猛攻をかわそうとするもついつい痴話を零してしまう松葉君を見ながら、手も暖めようかとコタツをめくると、何か白い布の様な物を見つけた。 
引きずり出してみると、セーラー服だった。全体的に乱れてるが主に胸のあたりにシワが集中してる、違和感のあるセーラー服。 

それを見た松葉君の表情が硬直した。 
今まで松葉君の方を向いていたエロもこちらを振り返る。 
エロは一瞬キリリとした顔に戻った。 
直後、先程までとは比べ物にならないくらいのニヤニヤを顔中から噴き出し、上半身ごとグイグイと松葉君に詰め寄り 
「こいつは何だ!こいつは一体何だ!若妻か、若妻に着せてるんだな!?」 
「畜生お前ら何やってんだ羨ましいぞ!おいナエちゃんこれ着てどんな風に啼くんだ言ってみろ!?」 
「見ないで!見ないで!わあ!お願いですから早く隠して!」 
僕達はキッチンのナエちゃんに気付かれないよう小声で大騒ぎした。 

夕方になって、僕とエロは松葉君の愛の巣からおいとました。 
来た時と比べるとかなり日も落ちていて薄暗い。 
近くの駅に向かって夕方の藍色の町並みを歩いていると、エロがぽつりと言い出した。 
「なあ、特殊な趣向の服屋を見て行かない?」 
正直同じ事を考えていた僕はギョットして立ち止まったが、すぐに二つ返事を返し、それから二人で何故か早足で駅に向かい、そういう街のそういう服屋に直行した。 

そういう服が淡い官能的カラーの照明に照らされた姿には何故だか艶かしさがあって、制服なんて僕の知ってる制服と見た目は変わらない様に見えるのに、漂う雰囲気はもう完全に異次元のものだった。 
エロは露出し過ぎてそうで露出し過ぎてないちょっと露出した忍者装束を、僕は赤いチャイナドレスを買って店を出た。 

おもちゃを買ってもらった子供みたいに大事そうに紙袋を抱え、でも顔には少し背徳と悦の混じった表情を浮かべる大人が二人、そういう街の駅で立ち並ぶ。 
「じゃあ、頑張れよ」 
エロが渾身のニヤニヤを絞り出す。 
「お前もな」 
僕もニヤけ返し、二人は別々のホームへと分かれた。 

自宅の最寄り駅を出てからは早足が止まらなくて、むしろその早足はどんどん勢いを増していって、ドアの前にたどり着く頃にはもう息が切れ切れだった。 
鍵を開けて中に入る。何だか10代の頃に戻ったように胸がバクバクしている。 
リビングの扉を開けると嫁はまだ帰っていなかった。 
「あれ、出かけるなんて言ってたっけなあ」 
ほんの少し落胆したが、すぐに気分を落ち着ける暇が出来たんだと切り替え、それでもまだ気分の高揚を押さえきれずに嫁に電話をかけてみた。 
「あれえ?言ったよね?28日の新幹線で帰省するって。三ヶ日明けたら戻るから、ちゃんとご飯食べて待っててね」 

電話が切れる。 

鈍器で殴られたような衝撃。テーブルの上にゆっくり視線を向けると、紙袋の入り口からチャイナドレスの赤い生地がチラリと見えた。放心状態でわけがわからない。チャイナドレスは店の官能的な雰囲気で見た時と同じように艶かしくて、僕はこの服と一緒に何日お留守番することになるんだろう。計算も出来ない。そもそも物が考えられない。何故かオオカミが遠吠えしている絵が浮かぶ。何日遠吠え、この衝動を抑えながら僕は一体何日一人で遠吠え。オオカミは喉がつぶれてしまわないだろうか、多分つぶれるんじゃないかと思う。僕はあれだけ可愛いナエちゃんよりもっと可愛い嫁を見つけたつもりだ。このチャイナドレスがとても似合うと思う。スラリとした足から腰のくびれに走る切れ込みが、 

気がつくと日が昇っていて、窓から差し込んだ光が微細なホコリを空間に照らし出していた。 
キョロキョロと周りを見渡すと、やっぱり状況は何も変わってなくて、僕はずっとテーブルの横で立ち尽くしていたらしい。 
気分は落ち着かず、まだオオカミの声が聞こえる。 
ポケットの携帯電話が揺れた。出ると相手はエロだった。 

「いやあもう旦那大喜び!昨日は燃えた燃えた、でへへへ。下手するといつもより1.5倍増しくらいだったんじゃないかな、いやあ本当、衣装様々!そっちは」 

涙が溢れた。 

「俺の事は放っておいてくれええええええええええええ!」 

乱暴に携帯の電源を切って寝室に駆け込み、布団に体当たりするかのように寝転び、泣いた。俺は一体どうすれば良い。これから6日間、向こうで家族に引き止められたりしたら更に数日、俺は一体この衝動をどこに閉じ込めておけば良い。テーブルの上のチャイナドレスは今も艶かしくそこにあるんだろう。オオカミは鳴き止まない。俺は一体。 


気がつくと現実に戻っていて僕はやっぱり枕に顔を埋めて泣いていました。 
センター試験が来週に迫ってますね。今日は僕の誕生日です。 
松葉君もナエちゃんもエロも嫁も知りません、誰でしょうかこの人達は。 
何故ここまで非現実的な夢を見るのでしょう。今日は僕の19歳の誕生日です。